駄文

パラペッチョ様05


「…………あれ?」
ぼんやりと呟いた、時計を見る。0時3分。秒針は当たり前のように昨日がすぎて今日になったことを伝えていた。テレビを見ると、アナウンサーが戸惑った様子でどういうこと?と話しかけている、映りこんだカメマンやADたちもわからないと首を横に捻っている。スマートフォンをつけてSNSを開いた。
「世界終わってないよ?」
「俺の時計が狂っているのかと思ったらそうじゃなかったみたいだ」
「せ か い が お わ ら な い」
「おかあさん僕は元気です」
などなどずらずらと言葉が続いている、スマートフォンが震えて何軒ものメッセージが届いた。
「生きてるか?」
「生きてる、元気」
「だよな」
「あれ?」
「???」
「パラペッチョ様が言っていたのに」
「パラペッチョが外すなんて」
会話に混ざって俺は打ち込んだ。
「だから、パラペッチョってなんだよ!!」

次の日の朝、世界は大混乱だった。預言者パラペッチョを信じて全財産使い果たした者や、商品を全て平らげてしまった人たち、犯罪行為に走ったもの。俺は家族で納豆をかき回しながらその映像をテレビで見ていた。メディアに姿をみせたパラペッチョはやっぱり胡散臭かった。真っ白なマスク。どう見ても怪しい人にしか見えない。
「どういうことですか!」
「世界が終わるのではなかったのですか!」
「何故あんな発言を?」
「今まで貴方を信じてきたのに、どうしてくれるんですか!!」
押しかける大人たち、両手を前に出して戸惑っている様子のパラペッチョ様。
「みなさん!違うのです!!世界の終わりというのには様々な解釈があって……!!」
パラペッチョ様は弁明しようとしていたけれども、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなっ!!人々の声でかき消されていた。

「おかあさん、お醤油とって」
「目玉焼きには塩コショウしてありますよ?」
「俺は醤油派だ」
「あたしはソースー」
目玉焼きに各々かけている家族を俺は見た。いつもの光景過ぎて笑ってしまった。

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